研究概要 |
1.ひとつの次元が円周上にコンパクト化された5次元のE型超対称共形場の理論を、Calabi-Yau多様体に内在するdel Pezzo曲面の局所ミラー対称性、およびIIB超弦のアフィン型7-brane配位のD3-brane探索の観点から考察した。その結果、del Pezzoサイクルが消滅する特異Calabi-Yau空間上の理論とD3-brane上の理論がミラー双対になっていることが示された。ミラー写像とBPS中心電荷の評価から、ストリング接合の荷電とdel Pezzo曲面に巻き付くD-braneのRR荷電の関係が明らかにされた。 2.非コンパクトCalabi-Yau多様体C^3/Z_<3,4,6>の例外4-サイクルに巻き付くD-braneを局所ミラー対称性の方法を用いて解析した。周期積分の満たす微分方程式はE_<6,7,8>型del Pezzo 4-サイクルの場合と一致するが、両者は、NSセクターのB場の配位を見ると、物理的に異なるモデルとなっている。周期積分とそのモノドロミーを詳細に解析することにより、4-サイクルに巻き付くD-braneの配位を論じた。また、Gromov-Witten不変量の漸近的振る舞いとゼータ関数の一種であるDirichletのL関数の特殊値が密接な関係にあることを見出した。 3.4-形式ゲージ場のフラックスを有限とし、IIA型超弦を複素4次元のCalabi-Yau多様体にコンパクト化する。フラックスを適当に調節し、正則4-形式をADE型4-サイクルに沿って積分すると2次元N=2超共形場理論の中心電荷が得られると予想される。E型の場合において、正則4-形式の積分の評価、およびLandau-Ginzburg超ポテンシャルの導出を行うことにより、この予想が成り立つことを明らかにした。
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