研究課題/領域番号 |
12640334
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
唐 政 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80271972)
|
研究分担者 |
湯葢 邦夫 (湯蓋 邦夫) 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10302209)
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005975)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 陽電子消滅法 / 埋め込みナノ微結晶 / フェルミ面 / 陽電子親和性捕獲 / 陽電子消滅 / 電子運動量分布 / 2次元角相関 / 体心立方銅 / ナノ粒子 / Fe-Cu合金 |
研究概要 |
材料中に埋め込まれたナノ微粒子は、バルクと大きく異なる性質を持つことが知られているが、その電子状態の測定は非常に困難であるため、ほとんど理解されていない。しかし、最近我々が実験的に初めて見いだした、ナノ微粒子への「陽電子親和性巨大捕獲現象」を用いることによって、ナノ微結晶だけの電子構造を調べることが可能である。本研究の目的は、固体中の金属ナノ微結晶の電子構造を陽電子消滅法による測定と、それに対応する第一原理計算により明らかにすることである。 本研究では、Feマトリックス中のCuナノ微結晶を調べた。具体的には、歪み焼鈍法により作製したFe-Cu希薄合金(Fe-0.1wt%Cu)単結晶を825℃で溶体化処理後水焼き入れし、550℃、0.1時間の熱時効を行い、Cuナノ析出物を作った。バルクのCuはfcc構造であるが、bcc構造のFe中のCuナノ析出物はbcc構造を持つため、フェルミ面の構造はバルクと大きく異なるはずである。作製した試料の陽電子消滅2光子2次元角相関(2D-ACAR)測定を行った。2D-ACAR法は、伝導電子の運動量分布を精度よく測定できるので、陽電子を捕獲するCuナノ微結晶析出物中の電子の運動量分布、すなわち、フェルミ面の構造を明らかにできる。測定の結果、Feマトリックス中のCuナノ微結晶では、そのbcc構造のBrillouinゾーンの形状を反映して、12個のN点にネックを持つことがわかった。バルクCuのフェルミ面は、fcc構造のBrillouinゾーンの8つのL点にネックを持つことが知られているが、それとは大きく異なるフェルミ面構造を持つことが明らかになった。 陽電子消滅実験と平行して、bcc構造のCuのフェルミ面をFLAPW法による第一原理計算も行った。その結果は、2D-ACAR測定による実験結果とよく一致した。 以上により、陽電子消滅法と対応する第一原理計算を用いることによって、他の手段では測定できない、材料中に埋め込まれたナノ微粒子の電子構造が明らかにできることを実証した。
|