研究課題/領域番号 |
12640354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浅野 貴行 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (00301333)
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研究分担者 |
網代 芳民 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00025438)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 幾何学的 / 競合系 / スピンダイナミックス / 量子効果 / パイロクロア構造 / カゴメ格子 / 三角格子 / 交替スピン |
研究概要 |
(1)量子スピンギャップ系Cs3Cr2X9(X=Cl、Br)の量子相転移とボーズ凝縮 Cs3Cr2X9(X=Cl、Br)は一連のA3M2X9型六方晶化合物に属する反強磁性ダイマー化合物である。孤立ダイマー極限では基底状態はスピン一重項で、スピンギャップを伴って励起三重項、五重項、七重項がある。パルス磁場と3Heを併用して40T、0.5Kでの測定した低温強磁場磁化曲線はCl塩、Br塩で対比的な特徴ある挙動を示す。その結果は両塩のダイマー間相互作用の大きさの違いを考慮したスピンギャップ系における磁場誘起量子相転移として理解することができる。 また、現実のスピンギャップ系では多少との三次元的な弱い相互作用が存在するが、零磁場では絶対零度においても自発的な磁気秩序を示さない。しかし、十分低温でギャップを破壊すると弱い相互作用による磁気秩序が現われる。粒子描像に立てばその状態はボーズ凝縮状態に対応することが明らかとなった。 (2)Cu-benzoateにおける磁場誘起ギャップの直接観測 S=1/2反強磁性ハイゼンベルグ鎖は、量子臨界現象を示す最も単純な系として、これまで多くの研究がなされているが、磁場中挙動も非常に特異である。その典型的なモデル物質のであるCu benzoateの単結晶試料を作成、広範な温度、磁場(周波数)領域で電子スピン共鳴(ESR)実験を行い、外部磁場に垂直な成分をもつスタガード磁場に起因する磁場励起ギャップと特徴的なブリーザ励起の直接観測に成功した。最低温度T=0.5Kにおける強磁場高周波ESR測定結果から磁場誘起エネルギーギャップの非線形的な磁場依存性が明確に観測され、この励起がsine-Gordon模型の解の一つのブリーザに対応する新しい素励起として解釈ができることを示した。また、様々は周波数における広範な温度変化の測定において、スペクトルの線幅の異常な振る舞いからスピノン励起とブリーザ励起の共存が零温度・零磁場の量子臨界点近傍におけるクロスオーバー現象と考えられることを示した。 この新しい素励起の普遍性を示す目的で、同様の物理現象が期待されるCu pyrimidineのX-bandにおけるESR測定を行い、詳細な温度・角度変化の測定から、スタガード磁場の存在をスペクトルの線幅の異常として明確に観測することができた。
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