研究概要 |
本研究の目的は,浅間山の火口近傍に広帯域地震計を設置・観測する事で,火山性地震・微動の発生と火山性流体の動きの関係を明らかにして,物理モデルとの比較研究から,火山性地震・微動の発生機構の理解を深めることにあった.浅間山の山頂付近の状況や,気象条件により,交付された補助金で購入した広帯域地震計は,浅間山山麓にある東京大学地震研究所浅間火山観測所に設置するにとどまった.しかしながら,本研究組織を中心とした研究グループでは,浅間山の山頂火口近傍にある地震観測点を復活させ,詳細な火山性地震・微動のデータ解析を進めた.また,GPSを用いた地殻変動観測も行い,さらに,火山性地震・微動の発生モデルを発展させることにより,火山性地震・微動の発生および発生領域に関する理解を深めることが出来た.・・浅間火山で発生する特徴的な火山性地震・微動を,主に山頂火口近傍に設置した地震計でとらえたデータから震動の特徴を詳細に調べ,発生領域を確定した.また,2002年6月に発生した群発地震の特徴を調べ,その後おこなったGPS観測から,群発地震発生領域において,圧力変動が起こっている可能性を明らかにした.・・無限弾性体中における流体球の自由振動を詳細に調べ,流体球が起こす振動では,並進モードが最も減衰定数が小さいことを明らかにした.そして,これを浅間火山で発生するN型地震と呼ばれる低周波地震に適用して,火口直下にある水蒸気溜まりの自由振動で説明できることを明らかにした.・・2003年2月6日に起こった非常に小さな微噴火に伴って発生した火山性微動を解析し,微噴火時に,特異な周波数成分が観測されることを明らかにした.
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