研究概要 |
高速高感度CCDカメラと狭帯域干渉フィルターを用いた木星可視オーロラ・大気光観測システムを設計・開発した.木星可視光オーロラ・大気光は地上から観測された例はなく,初めての試みである.北海道陸別町の「銀河の森天文台」の口径115cm反射望遠鏡,東北大学付属飯舘観測所の口径60cm反射望遠鏡,北海道大学理学部にて口径10cm小型望遠鏡を用いて,1999年11月から2001年11月まで3シーズンに渡り観測を実施した.水素ランプを用いて干渉フリンジを撮像することにより,観測波長域の異なる画像を減算処理し,観測波長での発光・変動を検出するという新しい観測・解析手法を開発した.地球大気の揺らぎを除くために露出時間の短い複数の画像の重ね合わせから発光・変動を検出するという手法も開発した.その結果,木星北極域に発光現象を捉えた.この手法による連続観測が今後実施されると,木星研究にとって非常に大きなインパクトになる.本研究で開発した微弱な発光を検出するという観測・画像処理手法は,木星可視オーロラ・大気光以外にも,惑星大気やその他微弱な発光を捕らえるようなさまざまな観測対象にも応用できる. 理論的な研究は,木星大気だけでなく比較惑星学的に火星・金星・地球に対しても実施した.その結果は,木星大気では大気・雲・光化学・プラズマ相互作用の重要性,特に高高度ではイオン抗力による大気・プラズマ相互作用が重要であることを指摘した.
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