研究分担者 |
竹内 誠 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (80273217)
榎並 正樹 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20168793)
足立 守 名古屋大学, 博物館, 教授 (10113094)
束田 和弘 名古屋大学, 博物館, 助手 (80303600)
加藤 丈典 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助手 (90293688)
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研究概要 |
日本列島の基盤岩類の地質調査を行うと共に,中国山東半島・福建省,コリア半島の嶺南地塊と京畿地塊,日本列島の肥後変成帯・南部北上帯およびロシア極東地域の基盤岩についてCHIME年代測定と蛍光X線分析を実施した。本研究で測定した年代データは13,000個を越える。主要な研究成果は以下の通りである。 (1)南部北上帯,薄衣礫岩中のトーナル岩礫は258〜247Maの年代を示す。これより,礫岩の後背地の花崗岩類は固結直後に急速に隆起・削剥したこと,南部北上帯とロシアシホテアリン地域は二畳紀花崗岩活動において類縁であることを報告した。(2)愛知県東部,音羽-本宮山地域の領家変成岩に貫入する花崗岩質脈は変形脈と非変形脈で年代が異なることを明らかにし,領家帯が約90Ma前に高温の変形条件から脆性的な変形条件に移行したと結論した。(3)中国の福建省内陸部および日本列島の美濃帯・手取層群の後背地にはコリア半島の京畿地塊・嶺南地塊と同等なジュラ紀花崗岩類が広く分布したことを明らかにした。(4)コリア半島の瑞山地域の瑞山花崗片麻岩は約17億年前に生じて約2.5億年前にモナザイトが再結晶するような高度変成作用を被っていること,花崗片麻岩に随伴する準片麻岩は古生代の堆積岩が約2.5億年前に変成したものであることを明らかにした。これにより,コリア半島の京畿地塊と嶺南地塊に,二畳紀末のグラニュライト〜角閃岩相の高変成度変成岩が広く分布することが確実となり,日本列島の飛騨変成帯との対比が可能になった。(5)熊本県中央部の肥後変成帯をコリア半島の二畳紀沃川帯に対比するモデルの基になった約2.5億年のジルコンは砕屑粒子あることを明らかにした。グラニュライト相変成鉱物とフォリエーションを形成しているモナザイトは約1.2億年であり,九州の肥後変成帯は年代的・岩石学的に東北日本の阿武隈変成帯に対比できることを示した。
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