配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
日本列島の骨格をなす秩父帯のうち三波川変成帯に隣接する北部について,海洋プレート起源物質の地質学的検討を行った.秩父帯北部はジュラ紀の陸源砕屑物で構成され,中に海洋プレート起源の三畳紀層状チャート,石炭・ペルム紀の石灰岩や緑色岩が異地性岩塊として混在する.このように異なる時代の岩石が混在する地質体は海洋プレートが沈み込み帯で形成された付加体であり,当時の東アジア大陸縁で形成されたと考えられる.このことは,付加体中の砕屑性モナザイトのU-TH-Pb年代が2億年と19億年に集中し,朝鮮半島に由来すると考えられることから支持される. 関東山地北部の三波川変成帯と白亜系に挟まれた秩父帯は,構成岩石種や地質時代の違いから,風早峠ユニット,上吉田ユニットおよび柏木ユニットに3区分される.各境界はすべて断層関係である.風早峠ユニットは砂泥互層からなり,前弧海盆の堆積相で,放散虫による生層序年代はジュラ紀古世末からジュラ紀中世初期である.上吉田ユニットは,層状チャートや石灰岩および苦鉄質火山岩あるいは火砕岩の岩塊を混在する泥質岩相で,放散虫化石による泥質マトリックスの地質年代はジュラ紀中期を主体とする.これには燐灰石とフロゴパイトを多量に含む特異な砕屑岩層が挟まれており,それはおそらくアルカリに富む苦鉄質火成岩類から供給されたものである.残存フロゴパイトのK-Ar年代は2億5千万年前頃を示す.柏木ユニットは,淡緑灰色の凝灰岩,灰色から暗灰色の珪質粘板岩,黒色の千枚岩などからなり,半遠洋性の堆積相を示唆する.この変成組織は御荷鉾緑色岩類から三波川変成帯へ連続し,より深部への沈み込みを示す.付加体中の苦鉄質火山岩および火砕屑岩の岩塊は,古生代後期から中生代初期の海洋底を構成していたもので,おそらくイザナギ・プレートの海台の一部を占めていたと考えられる.
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