研究課題/領域番号 |
12640483
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
江幡 孝之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70142924)
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研究分担者 |
三上 直彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004447)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 二重共鳴分光 / 電子励起状態 / 赤外分光 / 水素結合 / 分子クラスター / OH伸縮振動 / 紫外-赤外二重共鳴 / クラスター / 超音速ジェット / 振動分光 / 二重共鳴法 |
研究概要 |
通常の分光法では困難であった気相分子、分子クラスターの電子励起状態(S_1)のX-H(X=C, O, N)伸縮振動状態を観測するとともに、振動状態の緩和や、反応のダイナミックスの研究を行った。 平成12年度では、電子励起分子のX-H振動状態の観測方法として、紫外-赤外二重共鳴分光法を開発した。この分光法では、超音速ジェット中に生成した気相孤立分子や分子クラスターを、紫外レーザー光でS_1電子状態のゼロ点準位に励起した直後に赤外レーザー光を入射し、X-H振動準位に励起した。その条件下で、初期振動準位や緩和準位からの蛍光を観測した。実験の結果、以下の二つの測定法を適用できることが分かった。(1)振動励起状態の蛍光量子収率の変化を利用する赤外分光法、(2)振動励起状態の振動エネルギー緩和を利用する赤外分光法 平成13年度では、実際に分子やクラスターのS_1状態のX-H振動の観測を行った。対象とした系は、ベンゼン、トルエンのC-H伸縮振動や、アニリン、ナフトールのN-H、O-H伸縮振動である。これらの振動状態は、本研究で初めて観測することに成功した状態である。解析の結果、ベンゼン、トルエンでは、S_0状態に比べS_1状態で芳香環側のC-H伸縮振動の振動数が増加するが、逆にメチル基側のC-H伸縮振動の振動数は低下することが分かった。また、アニリンでは、N-H振動の振動数がS_1状態で500cm^<-1>と著しく低下し、さらにS_1電子状態のわずか3500cm^<-1>高波数側に第二電子励起状態S_2(πσ^*)が存在することを見いだした。S_2(πσ^*)電子状態は、芳香族分子のS_1状態の光化学反応を支配する重要な状態であるため、今後の研究継続が必要とされる。同様の観測を水素結合クラスターについて行った。その結果、0-H振動に励起されたクラスターは、速やかに振動緩和し、さらに振動前期解離することを明らかにした。
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