研究概要 |
1.新規シラノールの合成 当該研究機関において、以下の新規シラノールを合成、単離し、構造決定を行った。シラントリオール[RSi(OH)_3]およびジシロキサンテトラオール[(RSi(OH)_2O)_2](R=i-Pr, Mes, Tip, cyclohexyl)、シクロテトラシロキサンテトラオール[(i-PrSi(OH)O)_4](4つすべての立体異性体)、不完全縮合シルセスキオキサン(T_3(OH)_3、T_4(OH)_2、T_5(OH)置換基はTipおよびMes、t-Bu)。 2.シラノールによる超分子の合成 1で合成したシラノールを用い、共結晶および混合溶媒中での再結晶により、無限長ナノサイズのチューブおよびワイヤー状超分子を合成した。用いたシラノールの組み合わせは以下の通りである:all-cis-(i-PrSi(OH)O)_4とi-Pr_2Si(OH)_2、cis, trans-(TipSi(OH)O)_3とMeOH/THF、cis, trans, cis-(i-PrSi(OH)O)_4、cis, trans, cis-(i-PrSi(OH)O)_4。 3.多環式ラダーシロキサンの合成 まず、1で合成した環状シラノールall-cis-(i-PrSi(OH)O)_4を原料とし段階的にはしごを延ばしていく手法を開発し、これにより初めて5環式のラダーシロキサンを合成した。また、出発物である環状シラノールを立体特異的に合成する方法を見出し、それにより初めてanti型の5環式ラダーシロキサンも合成した。また、はしごを延ばしていくときに用いる試剤をジアステレオマー分離して用いることにより、収率を向上させ、また、伸長可能な異性体のみを合成することに成功した。この手法により、これまでに例のない7環式、および9環式のラダーシロキサンを合成した。これら多環式ラダーシロキサンは高い熱的安定性と均質性を示し、高機能素材としての応用が期待される。
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