配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
糖-多環芳香族からなるハイブリッド型化合物であるアクアヤマイシン類の全合成研究を展開し,そこで生じる芳香族合成,糖質合成の課題の解決を図り,それぞれの合成化学に新たな局面を切り開くことを目的に研究を行った。 はじめに,アクアヤマイシン自身の合成を検討し,第一世代の全合成経路の開発に成功した。これは、構造決定以来30年間、多くのグループが競ってきた中での初の全合成である。 次に,より高次な構造を持つアクアヤマイシン類縁体の合成への展開に向け,CD環部に相当する合成中間体を十分量供給することを可能にする、新たな合成法の開発を行った。クロマトグラフィーによる精製をさけること,また、反応剤の使用量を最小限にすることを念頭に置き,鍵工程となるC-グリコシド化反応,ベンザインとケテンシリルアセタールとの[2+2]付加環化反応を含めた各反応の反応条件、さらには、合成経路自身を詳細に再検討した。その結果,目的とするCD環フラグメントを迅速に10gスケールで合成することが可能になった。一方,AB環フラグメント合成の鍵工程は,シクロヘキサントリオール誘導体の,リパーゼを触媒に用いるエナンチオ選択的非対称化反応である。生体触媒を用いる反応の本来の特性を活用し,これに関しても,1度に10g以上の反応が可能となる条件を見出すことに成功した。 最終年度には、糖部分の構造の異なる生理活性アナログの創製を念頭に置き,C-グリコシド部位にアミノ糖を導入する手法の開発を行った。アミノ糖は,種々の生理活性グリコシドにおいて,その活性の本質を担っている。この方法の応用により,そういったアミノ糖を持つアクアヤマイシンアナログの創製が可能になるものと期待できる。実際,抗腫瘍性のアリールC-クリコシド抗生物質であるラビドマイシンを構成するラビドサミンのC-グリコシド化に成功した。
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