研究概要 |
本研究は、新しい電子供与体であるヘキサチアトリナフチレン類の新規合成法を確立し、これを配位子に遷移金属化合物を使って多次元に集積させた新規な物質を合成し、その性質を明らかにすることである。平成12年度の成果は以下の通りである。 1.チアントレン骨格を有する新規な有機配位子を合成し、単結晶化に成功した。1,4-ジチイン環部分で125°〜136°屈曲し、イス型構造をとっていることがわかった。 2.銀(1)錯体を合成し、その単結晶化に成功した。配位子にテトウ(1,4-ジチアナフト)[a, c, f, h]ナフタレンを用いた系では対アニオンにより、ポリマー構造を形成していることを元素分析結果及び、性質から推定した。 平成13年度の成果は次の通りである。 1.ベンジルチオエーテル基を複数有する芳香族化合物を合成した。光により可逆的なクロミズムを示すことを確認した。 2.銀(1)錯体を合成し、その単結晶X線構造解析の結果、二次元シート構造を形成していることがわかった。有機配位子では見られないクロミズムを銀(1)錯体が示すことを明らかにした。
|