研究課題/領域番号 |
12640550
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
芥川 智行 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (60271631)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | プロトン伝導体 / 電荷移動錯体 / 水素結合 / 低分子錯体 / チャンネル / 有機錯体 |
研究概要 |
本研究では、ナフィオン膜に変わる新たなプロトン伝導体の開発を目標として、低分子結晶のプロトン・イオン伝導場を設計する事で、多量の水和分子を必要としないイオン伝導体を開発する事を研究目的とした。すなわち、イオン伝導度が温度変化に左右される事無く、より低温(0℃以下)での動作が可能なイオン伝導体の構築について検討した。具体的には、結晶中にデザインされたイオンチャンネルに代表される動的イオン場の作製とそのイオン伝導に関する物性評価を試みた。以下に本年度得られた研究成果をまとまる。 研究対象とした低分子有機錯体は、1)ジチオレン系の金属錯体[Ni(dmit)_2]と超分子カチオン構造からなるラジカル塩と2)2,2'-bi-1H-benzimidazole(H2BBIM)系の錯体である。いずれの錯体も、単結晶として単離し、その結晶構造の評価からイオン・プロトン伝導性の出現の可能性について検討した。1)の研究では、合計20種類の結晶を探索した結果、M^+([18]crown-6)[Ni(dmit)_2]_2の組成を有する塩が、イオン伝導性を可能とするチャンネル型のカチオン構造を取ることが判明した。また、チャンネル構造を設計する為の指針として、錯形成定数を用いたアプローチが有効である事を示した。2)の研究成果では、(H3BBIM^+)(TCNQ)(Cl^-)_<0.5>(H_2O)の組成を有する単結晶を作製した。そのプロトン伝導度の測定は、高プロトン伝導体であるnafion^<【○!R】>117膜で試料を挟んだサンドイッチ型の電極構造を作製する事で評価した。錯体中のプロトン伝導度は、300Kにおいて約1.2×10^<-3>Scm<-1>であり、200Kまでの低温領域でプロトン伝導度が観測された。この様なプロトン伝導性は、結晶中に形成したプロトンチャンネル内の水素結合ネットワークを介した結果と考えられ、水素結合鎖の設計が低分子系のプロトン伝導性の出現に重要である事を示した。
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