研究概要 |
N, N-ビス(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-o-トリジン(HTS)の過酸化水素酸化反応において銅(II)および鉄(III)が接触作用を示した。また,銅(II)の接触作用に対してピリジン,クプロイン,ネオクプロイン(NCP)およびバソクプロインスルホン酸塩が,鉄(III)においては,ビピリジン,1,10-フェナントロリン(phen)および8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸が活性化効果を示した。この内,著しい活性化作用を示したNCPおよびphenを銅(II)および鉄(III)の活性化剤としてそれぞれ用い,フローインジェクション分析(FIA)法による銅(II)および鉄(III)を逐次定量法を開発した。銅(II)を定量する際の鉄(III)のマスキング剤としてリン酸,鉄(III)を定量する際の銅(II)のマスキング剤としてトリエタノールアミンをそれぞれ用い,得られた条件下で1〜30ng ml^<-1>の銅(II)および2〜50ng ml^<-1>の鉄(III)が分析可能となった。 HTSの臭素酸塩による酸化反応は,微量のバナジウム(IV, V)により接触的に促進されたので,この反応系を用いた極微量バナジウム(IV, V)の接触分析-FIA法を開発した。1,2-ヒドロキシベンゼンスルホン酸塩(Tiron)クエン酸,シュウ酸,プロトカテク酸などの配位子が活性化作用を示したが,活性化効果が著しく大きかったTironを活性化剤として用いた。本法において妨害を示した鉄(III)のマスキング剤としてエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸を用いた。最適化された分析条件下で,0.01〜3.0ng ml^<-1>のバナジウム(IV, V)が分析可能となった。本法を湖沼水,河川水などに応用し,良好な結果が得られた。
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