研究課題/領域番号 |
12640597
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
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研究分担者 |
伊達 敦子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化, 助手 (50303003)
近藤 るみ お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (40293104)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 抗菌タンパク / アンドロピン / 分子進化 |
研究概要 |
本研究ではアンドロピン遺伝子を用いて、昆虫の抗菌タンパク遺伝子群の進化に伴う歴史的多様化についての考察することを目的とし、以下の2点について検討を行った。(1)セクロピン遺伝子群形成過程において、アンドロピンがどのように機能分化を遂げていったのかを知るために、ショウジョウバエ種間・種内レベルで発現調節領域と構造遺伝子の塩基配列の解析を中心として比較検討した。(2)アンドロピン遺伝子の適応進化の要因を明らかにするために、ショウジョウバエ種間におけるアンドロビン遺伝子発現・タンパクの活性に関して機能解析を行った。得られた成果について、以下にまとめて記載する。 (1)アンドロピン遺伝子の進化 キイロショウジョウバエ近縁6種からアンドロピン遺伝子を含む領域のクローニングを行い、塩基配列を決定した。調べた種の中で、D.kikkawai, D.ananassae, D.pseudoobscuraではアンドロビン様の配列が見られなかったことから、アンドロビンはD.kikkawaiとmelanogaster種亜群の種分岐の間(約800万〜1300万年前)に出現したことが分かった。一方D.takahashiiでは、他種とは異なるアンドロビン・セクロピン様遺伝子が2つ(tak-1,tak-2)観察された。D.takahashiiでは種分岐後独自に遺伝子群が形成されたと考えられた。今後、tak-1,tak-2の配列解析や遺伝子発現などを調べることで、遺伝子の多様化の道筋がより具体的に示されると思われる。 (2)キイロショウジョウバエ近縁種間におけるアンドロピンの機能解析 キイロショウジョウバエ近縁種間において、アンドロピンの推定アミノ酸配列が大きく異なることから、遺伝子発現やタンパク機能レベルで、種間で差が見られるかどうか検討を行った。種間における5'調節領域の配列比較では、成虫雄射精管特異的発現にかかわるモチーフがみつかり、それらは種間において保存されていた。また、遺伝子発現も成虫雄生殖器官に限定されており、雌では遺伝子発現は見られなかった合成ペプチドを用いたタンパクの抗菌活性アッセイでも、アンドロピンの菌への作用は種間で保存されており、調べた中ではBacillusへの菌感受性が種間において多少差が見られた。これらのことから、アンドロピンは生殖器官において働く抗菌タンパクという機能は保持しつつ、それぞれの種に適応した菌感受性を取得するよう適応進化したと考えられる。一方で、生殖器官に発現する遺伝子に性の自然選択の作用で進化を遂げているという知見もあり、アンドロピンもその作用を受けている可能性も考えられる。
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