研究概要 |
ペクチンは複数の構成糖から成る棺物細胞壁多糖の一つであり、その主要な構造は、ガラクツロン酸(GalA)がα-1,4-結合で連なったポリガラクツロン酸(polyGalA)である。本研究は、ペクチンの合成機構に着目し、polyGalAにGalAを転移させて糖鎖の伸長反応を触媒するガラクツロン酸転移酵素(GTase)の諸性質を明らかにすることを目的とした。 1.GTaseの活性測定:アズキ(Vigna angularis)を室温、暗所、7日間生育し、胚軸から粗膜画分を調製して酵素源とした。50mM MES-KOH緩衝液(pH6.8)中で0.3mM UDP-[^<14>C]GalAを供与体とし、2mg/ml polyGalAへの放射活性の取込み量を測定して活性を求めた。 2.酵素の性質:酵素の最適作用pHは6.8-7.5、最適作用温度は25-35℃である。酵素活性には5mMのMn^<2+>添加が必須であり、比活性は約40倍高まる。また、界面活性剤の添加も必要である。重合度の低いpolyGalA(分子量約10,000)が良好な受容体となる。UDP-GalAに対する見かけのK_m値は0.11mMである。反応産物をDionex製HPLCで分析すると、[^<14>C]GalAが受容体に取り込まれてpolyGalAの鎖長が伸長することが確認された。 3.酵素の可溶化と精製:粗膜画分を終濃度が50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)、1%Triton X-100、20%グリセロール、1mM EGTA溶液と混合し、時々撹拌しながら氷上で60分間放置すると、酵素活性の約90%が可溶化された。可溶化粗酵素液から、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ならびにNiキレートカラムを用いたクロマトグラフィーで酵素精製を試みたが良好な結果は得られなかった。
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