研究概要 |
アワノメイガ,アズキノメイガ,オナモミノメイガ,フキノメイガよりWolbachia感染個体を見出した.4種のWolbachia感染個体について,Wolbachiaのwsp遺伝子とftsZ遺伝子の部分塩基配列を決定した.どちらの遺伝子についても全サンプルが同一の配列を示した.この結果は,4種に感染しているWolbachiaが同一のあるいは極めて近縁な系統に属することを示唆する.特にフキノメイガ,ゴボウノメイガ,ツワブキノメイガ,ヨーロッパアワノメイガのミトコンドリアCOII遺伝子塩基配列の種内変異を重点的に調査し,アワノメイガ種群におけるCOII遺伝子の系統変異を詳しく把握した.Wolbachia感染サンプル(4種35個体)について,宿主のCOII遺伝子塩基配列を決定した.全サンプルはほぼ同一の配列を示した.この結果は,4種のWolbachia感染が一度の感染事象に由来することを意味する.これまでに決定された,アワノメイガ種群7種(計200頭以上)の全てを系統解析にかけた結果,感染型COII塩基配列はどの種の主要COII系統グループにも属さないことが判明した.この結果は,感染型COII配列がアワノメイガ類の中でも古くに分岐したことを示唆する.以上の知見をあわせて,1)アワノメイガ類において性転換型Wolbachiaは種間交雑を通じて宿主種を拡大したこと,2)どの種からどの種へ感染が移ったかは不明であること,3)感染の配給元となった種はおそらくアワノメイガ類の現生種が分化するよりも古い時期に感染していたこと,を考察した.
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