研究課題/領域番号 |
12640689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
大野 素徳 崇城大学, 工学部, 教授 (30038434)
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研究分担者 |
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00164864)
上田 直子 (小田 直子) 崇城大学, 工学部, 助教授 (70211828)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 南西諸島 / ハブ / 孤立環境 / 毒腺ホスホリパーゼA_2アイソザイム / 遺伝子変異 / 偽遺伝子 / 食性 / 適応進化 / ハブ毒 / クロマトグラフィー / ホスホリパービA_2アイソザイム / 孤立 |
研究概要 |
毒蛇ハブは奄美大島、徳之島、沖縄、久米島などの南西諸島に棲息する。これらの島々は100-200万年前に水面の上昇に伴い、沖縄古陸が水面下に没したときに、水面上にとり残された陸地の部分である。沖縄古陸のハブの祖先はこれらの島々にわかれ、孤立した状態で現在に至っている。本研究は孤立環境とハブ毒腺ホスホリパーゼA_2(PLA_2)アイソザイムの遺伝子変異の関係を進化学的に調べることを目的とする。奄美大島、徳之島、沖縄のハブ毒をクロマトグラフィーにかけたとき、奄美大島、徳之島ハブ毒に多量に含まれる[Lys^<49>]PLA_2型アイソザイムであるBPI及びBPIIが沖縄ハブ毒には存在しなかった。Northern blot解析及びsingle stranded conformattional polymorphism-polymerase chain reactionから沖縄ハブ毒腺にBPI及びBPII mRNAが存在しないことが明らかとなった。種々のプライマーを用いた沖縄ハブゲノムDNAに対するPCR増幅反応及びBPIとBPII遺伝子の上流と下流に存在するポリモルフィズムを含む部分のPCRと配列解析から、BPI遺伝子の上流部分とBPII遺伝子の下流部分とが介在配列を介して結合し、偽遺伝子となっていることがわかった。BPIとBPIIは強い筋壊死作用を示し、これらを欠く沖縄ハブは生存に不利と考えられる。しかし沖縄ハブは正常に生きている。沖縄北部の山原地域は太古の環境を残すと考えられるが、ここのハブはホルストガエル(Rana holsti,沖縄県指定天然記念動物)を90%以上餌としていることが観察されている。沖縄古陸のハブはBPI及びBPII遺伝子をもっていたが、沖縄ハブはカエルを餌とするために、強い毒性を必要とせず、適応的にBPIとBPII遺伝子を不活性化したものと考えられる。沖縄ハブ毒のPLA_2アイソザイムであるPL-Yは、浮腫活性をもつ徳之島ハブ毒のPLA-Bと3残基の違いであるが、腫れを起こすことができなかった。これも孤立環境によりもたらされた進化の違いに基づくものと考えられる。
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