研究課題/領域番号 |
12650025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
末光 眞希 (末光 真希) 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00134057)
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研究分担者 |
中澤 日出樹 東北大学, 電気通信研究所, 中核的研究機関研究員
築舘 厳和 東北大学, 電気通信研究所, 日本学術振興会特別研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 炭化ケイ素 / SiC / ガスソースMBE / ヘテロエピタキシー / モノメチルシラン / 有機ケイ素 / 表面化学 / 「その場」表面評価 |
研究概要 |
SiCは次世代パワーデバイス用として最有望視されている材料である。本研究はSiC低温エピタキシー用原料ガスとして高い可能性を有する有機ケイ素化合物に関し、種々の有機ケイ素ガスによるSiC成長素過程を微視的に明らかにし,その知見に基づいて低温・高品質のSiCエピタキシ技術を構築することを目的とし,以下に述べる成果を上げた。 (1)有機シラン法によるSi外方拡散の抑制 Si基板上のSiCヘテロエピタキシャル成長実験を行い、従来より問題となっていた基板からのSi原子外方拡散が、分子中に安定なSi-C結合を有する有機シランガスを用いることにより大幅に抑制されることを見出した。 (2)有機シランバッファ法の開発 Si基板上とSiC薄膜間に存在する20%の格子不整合を解消する為に不可欠なバッファ層の形成では,炭化水素ガスを用いる従来の炭化法では900℃以上の高温を必要し、表面粗れやSi基板中のボイドの発生が問題だった。本研究では炭化水素ガスに替わって有機シランガスを用い、炭化法に比べて300℃低い600℃という低温で良好なバッファ層を形成することに成功した。 (3)有機シランGSMBE法の開発 Si系とC系の2種類の原料ガスを用いて行われてきた従来のSiCエピタキシーを有機シラン原料ガス1種類に置き換え、かつ上記の有機シランバッファ法と組合わせることで、成長温度を従来の1100℃から900℃へと低減することに成功した。また表面水素が良好なSiCエピタキシーを阻害することを明らかにし、SiCエピタキシーの低温化に関する本質的指針を得た。 (4)SiC/Siヘテロエピタキシにおける単ドメイン化技術の開発 無極性Si基板上に有極性SiC単結晶薄膜を形成する場合、ドメイン境界と呼ばれる欠陥の発生が問題となる。通電加熱法によりSi基板表面を予め単ドメイン化する事で、その後形成されるSiC薄膜を単ドメイン化できる事を初めて見出した。従来の単ドメイン化技術が5μm以上の膜厚を必要としていたのに対し、本技術は50-100mmという極薄膜でこれを達成できる。 (5)Si成長素過程の解明と成長モデリング Si水素化物を用いたSiエピタキシの成長素過程を解明した。とくにSiエピタキシー表面の水素被覆率を成長温度・成長圧力の関数として初めて実験的に求め、従来の成長モデルではこれらの温度・圧力依存性を説明できないことを明らかにした。そして原料吸着過程の温度変化を考慮した新しい成長モデルを提案し、成長速度と水素被覆率、両者に対する温度・圧力依存性を高精度かつ統一的に記述することに成功した。
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