研究概要 |
Raman-Nath回折効果を用いて、液体試料NaCl溶液と庶糖溶液濃度を、トラッカ電圧感度絶対値35.2mV/%(29・998MHz)で測定する装置を開発した。その他研究成果として得られた結果をまとめると、以下の7項目になる。 1.液体濃度計の測定濃度範囲を決定する偏移係数dfは、PD型AOおよびPLL型AO設計のための仕様を与える。0.0-1.0%NaCl溶液と0.0-5.0%砂糖溶液を測定するときには、df=0.0078でよい。 2.NaCl溶液と砂糖溶液は、25℃±2℃温度範囲では、同じ温度補正回路で補正可能である。温度補償量は,PLL法では3.381kHz/℃,3.379kHz/℃となり、PD法で、32.8deg/℃と32.2deg/℃を得た。 3.測定システムは、光源にHe-Neレーザを用い、光学除振台上に置かないで簡易的な鉄板実験机による測定装置で基礎的なデータを取得した。 4.トランスデューサーは、PLL型AOでは、Qが1/dfで十分であるので、PZTが最適である。セルの光透過面は、ガラスでなくてもアクリル板で十分である。 5.Raman-Nath回折効果を利用する周波数帯では、ビジコンカメラと虹彩絞り上の輝点との距離は30mm〜100mmで十分な感度で測定可能である。 6.29.298MHzで、温度係数は9.65mV/℃となり、温度感度の周波数比例係S_<tf>は、0.268mV/℃・MHzとなった。超音波周波数が高いほど、この影響がさらに大きくなるので、温度補正が必要である。 7.PLL型AOで測定感度の改善化が図れることを、回折光の周波数特性実験結果と偏移係数の計算結果から明らかにした。0.5%NaCl溶液のPLL中心周波数を22.898MHzに設定した時、NaCl溶液濃度変化0.0〜1.0%に対応したPLL周波数変化は、22.988MHz〜22.808MHz(PLL設計用偏移係数で求めた計算値)となる。0.0〜1.0%濃度変化に対応したトラッカ電圧変化は68mVとなり、PD型AODの電圧変化29mVの約2.345倍の測定感度改善が図られることが予見された。
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