研究概要 |
散乱X線がX線画像の鮮鋭度に及ぼす影響の検討,散乱X線除去方法のちがいによる除去効果の比較,被曝線量測定のための測定器の性能評価を行った. 1 散乱X線が広い範囲で画像に影響するとき,散乱X線のレスポンス関数は一次X線含有率に等しくなると言われている.しかし,われわれの知る限りこれを追試したという報告はない.今回,矩形波チャートを用いた実験で追試した結果,この関係を確認した. 2 散乱X線を除去する方法として,散乱体と画像記録系との間を離す方法(エア・ギャップ法)と散乱X線除去用グリッドを用いる方法が一般によく使われている.しかし,どちらの方法を用いるのが有効であるかという基準は明確ではない.散乱体の厚さ,照射野の大きさ,エア・ギャップ,グリッドの種類などを変えて散乱X線含有率,写真コントラスト,表面入射線量を測定した.その結果,照射野が小さいときはエア・ギャップ法が有効であることがわかった.ただし,実際には診断に必要な照射野の大きさを優先して考えなければならない. 3 Interventional radiology(IVR)の普及に伴ってX線透視による被曝線量の増加が問題になっている.そのため,散乱X線を含む透視による被曝線量を直接測定できる装置が開発されている.そのような測定器の一つであるスキンダーズモニタの基本的な性能を評価した.その結果,全体の透視時間が同じであっても,短時間の照射を繰り返す場合は1回の照射による線量が正しく測定されず,全体として線量が少なく評価されることがわかった.また,検出部に対してX線が斜めに入射する場合,入射角度が大きいと正しく測定できないことがわかった.透視による被曝線量を直接測定できる有用な手段であるので,今後の改良が望まれる.
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