研究概要 |
1.境界要素法による大振幅定在波の直接シミュレーション 2次元境界要素法を用いて液体自由表面の運動の時間変化の直接シミュレーションを行う手法を開発し,従来困難であった大振幅定在波の直接シミュレーションに成功した. 2.逆問題 脳磁図逆問題などに応用される3次元ポアソン方程式のソース項同定逆問題において,領域内のソース分布に応じた効率的な直接解法を構築した.ソースが1)領域内で比較的一様に分布するとき,2)領域表層に集中して存在するとき,各場合に対し,場の多重極展開の1)低次モーメント,2)高次モーメントの無限級数を用いることにより,ソースを1)xy平面,2)リーマン球面に射影した位置に関する再構成公式を得た.特にリーマン球面に射影する方法においては,領域境界上で局所的重みをかけた境界積分,もしくは境界上の一点における場の高階微分を観測データとしてソースが同定可能であることを示した. 3.特異な系に対する反復法の収束性の理論解析 特異な係数行列をもつ連立一次方程式や最小二乗問題に対するクリロフ部分空間反復法の振る舞いを理論的に解析した,具体的には,CR法(共役残差法),GCR(k)法(一般化共役残差法),GMRES法(一般化残差最小法)が破綻することなく最小二乗解を与えるための必要十分条件を求めた.手法として,アルゴリズムを係数行列の像空間とその直交補空間の成分に分離する手法を用いた. また,優決定な最小二乗問題に対して,不完全QR分解による前処理を施してからGMRES法を適用する手法を提案し,その有効性を検証した. 4.固有値問題の反復解法に関する研究 Jacobi-Davidson法の修正方程式に解が存在するための必要十分条件を導き,その解によって拡張される部分空間と係数行列の不変部分空間の関係を明らかにし,効率的な初期ベクトルの生成法を提案した.また,同手法の精度保証計算法を提案した.
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