研究概要 |
形状記憶合金繊維と通常の金属,ポリマーからなる複合材料の特殊機能の発現機構の解明と材料開発の指針を得ることを目的として,まず,力学モデルの開発と解析により機能発現の機構と可能性を探り,続いて,実際に複合材料を作成し,解析により予見された特殊機能の実験的検証を行った. (1)形状記憶合金複合材料の構成式の開発と機能発現の解析 形状記憶合金繊維の複合化形態を種々に変えた複合材料に対して,熱的・機械的負荷での変形・変態挙動を記述できる力学モデル(構成式)をShear-lagモデルを用いて開発した.更に,この力学モデルを用いて,種々の機械的・熱的負荷での変形解析を行い,特殊機能発現の可能性を探り,発現機構を明らかにした. (2)形状記憶合金複合材料の作成および実証試験 NiTi形状記憶合金繊維とマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂(ポリカーボネイト)を用いた複合材料を小型射出成形機により作製した.作成された形状記憶合金複合材料に関して,機械的・熱的負荷の下での変形挙動に関して実験を行った.その結果,形状記憶効果,超弾性挙動はもとより,マトリックスへの圧縮応力の生成,強度の向上,加熱による収縮など解析により予測された機能特性が確認された. 以上の研究結果より,形状記憶合金複合材料の機能特性は形状記憶合金の形状記憶効果および超弾性挙動とマトリックスの弾性,弾塑性,粘性の変形挙動の相互作用により発現されることが明らかになり,特殊機能発現のための多くの指針を得た.
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