研究概要 |
超高精度マイクロフォース試験機(分解能50nm)を応用した微細はんだ接合部疲労試験システムを開発し、Bi量を変化させた実物大Sn-Ag系はんだ接合部の疲労き裂発生・進展寿命に及ぼすBi量の影響について調べた。また、同時に任意曲線法によるはんだ接続部のき裂発生・進展解析に必要な繰返し応力-ひずみ曲線およびクリープ・疲労損傷に関するデータを3種類の雰囲気温度(303K,318Kおよび333K)と繰返し周波数(1Hz,0.1Hzおよび0.01Hz)の組み合わせに対して採取した。また、CCDカメラ付き実体顕微鏡と画像処理ボードを組み込んだパーソナルコンピュータからなるき裂発生・進展モニター記録システムとSEM観察とを併用して、き裂発生・進展メカニズムに及ぼす微視組織の影響を詳細に調べた。さらに、上述した実験観察に基づいて、Sn-Ag系鉛フリーはんだ材のクリープ・疲労損傷を統一的に表現できる損傷変数の発展を組み込んだ支配方程式を常微分方程式の境界地問題に帰着させて解くことを念頭において導出し、任意曲線法をさらに拡張発展させた。この理論をプログラムに追加し、鉛フリーはんだ接合部の疲労寿命予測を行い、その妥当性について調べた。その結果、本研究で提案した疲労寿命予測法により鉛フリーはんだ接合部の寿命予測が行えることを確認した。最後に、これらの計算をエリアアレイパッケージのような大規模計算に適用するために、任意曲線法の並列化アルゴリズムおよび任意曲線法と有限要素法との結合解法を提案し、その有効性を示した。
|