研究概要 |
異種材界面き裂の応力拡大係数は、電子デバイスや接着構造物、複合材料の強度信頼性評価のために重要なパラメータであるが、それを求めるには有限要素法などの数値解析を行う必要がある。しかも、異種材界面き裂の評価には、破壊モード、残留応力、異方性などの考慮が必要となる。本研究では、残留応力や熱応力の影響を受ける異種材界面き裂の応力拡大係数を、有限要素法を用いて簡便に解析する手法を開発し、電子デバイスなどの界面はく離問題に応用することを目的とした。 そのために,本研究では,次のような研究を行った。 (1)異種材界面き裂の応力拡大係数を精度良く求めるために,有限要素法解析に対して,仮想き裂進展法を適用する手法と,Crack Closure Integral法を適用する手法を開発し,いずれも数値解析手法としては最高の精度で異種材界面き裂の応力拡大係数が解析できることを示した。 (2)異種材界面き裂の応力拡大係数を用いて,異種材界面き裂の屈曲方向予測を行うモデルを開発し,異種材界面き裂の屈曲方向の予測が行えることを示した。 (3)異種材界面き裂の応力拡大係数を電子デバイスの剥離に応用する手法を開発した。 (4)異方性異種材界面き裂の応力拡大係数を求めるために必要な,異方性弾性解析のための二次元一般化平面ひずみ有限要素法にプログラムと異方性異種材界面き裂のき裂先端の漸近解を計算するプログラムの開発を行った。これらを用いてまもなく異方性異種材界面き裂の応力拡大係数の解析が行える予定である。また,この解析値の精度を評価するために遠方で応力を受けるような,中央異方性異種材界面き裂を持つ半無限接合板の応力拡大係数の理論解を導いた。
|