研究概要 |
環境に優しい生分解性プラスチック材料の、まだほとんど解明されていないけれども利用上不可欠なその変形・強度特性を温度依存性などを考慮して系統的かつ正確な実験によって調べ、明らかにした。すなわち、 本年度は、昨年度の研究成果を踏まえ、繊維強化複合材料としての利用が可能と考えられる脂肪族ポリエステル(ビオノーレ)の室温〜70℃近辺までの中温度下での衝撃強度について実験的に調べた。 まず、プラスチック用の低負荷衝撃引張試験機の試作を行った。本装置は試料温度のコントロールおよび衝撃荷重測定が可能な仕様となっている。 (1)実験条件:試験温度30,40,50℃、最大衝撃エネルギ:23.9J (2)試験片形状:板状(15×48×3(mm)、U,V切り欠き(深さ2,3,4,5mm) (得られた結果) (1)40℃近辺以下ではほぼ脆性破壊を示し、衝撃値も温度によらずほぼ一定である。しかし、ノッチ深さ(試験片の破断面積)依存性が顕著であり、ノッチ深さが大きい(小断面積の試料)ほど単位面積当たりの衝撃エネルギは大きい。 (2)50℃近辺では延性を示すようになり、ノッチ形状依存性が見られるようになる。一方、ノッチ深さ依存性は低下し、前項の脆性的破壊の場合とは逆に断面積の大なる試料ほど単位面積当たりの衝撃エネルギは大きくなる。 (今後の課題)今回の実験ではロードセル設置位置に問題があり、有意な負荷荷重測定ができなかった。この点を改良すると共に、石油系高分子材料との比較および繊維強化複合材料とした場合の検討を行う必要がある。
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