研究概要 |
自動車のヘッドライトやその金型などのように,工業製品には曲面で構成されているものがある.これらの曲面の設計形状からの誤差を測定し,その誤差を補正するように再加工するため、インプロセス計測が期待できる方法として、本研究では,ハルトマンテストと干渉縞位相シフト法を応用した測定法を提案し、これらの実用化に向けた研究を行った。その成果は以下の通りである。 1)形状測定機の開発 提案した原理に基づき、曲面形状測定用の装置開発を行った.液晶パネルに格子を描画して,コンピュータからの指令によって格子の位相を段階的に変化させた複数の画像を用い,高い空間分解能で形状誤差を求めることができた. 2)形状解析プログラムの開発 設計形状に適応した投影パターンを作成するソフトウエア、および、投影された変形格子と理想格子から形状を解析するソフトウエアの開発を行った.開発を行った測定装置と解析ソフトウエアでサンプルを測定し、測定された形状を断面形状測定機で比較測定して,本装置によって得られた測定値との比較を行い、問題点を探った.その結果、被検波面をゼルニケ多項式に分解した場合,パワー成分の誤差が入ることが分かった. 3)本測定法における測定データの高速高精度解析プログラムの開発 本測定法で得られるデータは,測定形状の微分データになる.微分データから形状を復元するために,区分的な直交多項式を用いた積分法を用いて,より短時間に高精度に解析する方法を提案し,シミュレーションによってその有効性を示した.また,サンプリング間隔が不規則な場合に対応できる方法として,B-spline関数を用いて短時間に高精度に解析する方法を提案し,シミュレーションによってその有効性を示した. 以上の成果により,実用化への見通しが得られた.
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