研究概要 |
光硬化性樹脂を用いたマイクロ造形に関する研究は近年盛んに行われている.その中で,現状の造形手法は主に積層手法を用いていることから,造形物が小さくなると相対的に積層面の段差が製品精度に及ぼす影響が大きくなる.また,レーザ走査によって樹脂を硬化させる原理を用いていることから,一品ものの試作品などには多く応用されているが,大量生産には不向きなシステムとなっている.現在の高精度微小部品は射出成形によって作られるものが多く,そこで用いられる金型技術が大量・安価に高精度部品を供給することに役立っている. そこで,本研究においては光硬化性樹脂を用いたマイクロ部品の成形方法として,金型を用いた方法を提案した.本研究では実際に成形用のマイクロ金型を作成し,微小形状の転写性を検証した.実験結果より,良い転写性が確認でき,光硬化性樹脂を用いた高精度微小部品の大量生産の可能性を見出した.具体的には,幅数10μm〜数100μm幅の微小線を持つ格子状成形物と円形の成形物を作成し,レーザ顕微鏡を用いて形状測定を行い両者とも良い転写性を有することを確認した.同時に数十回の成形を行い,繰り返し成形可能であることを確認した.この場合,充填する樹脂と離型剤の量を適切な量に調整することにより,成形品の離形性が向上することもわかった. 本研究で光硬化性樹脂を用いたマイクロメートルレベルの微小部品を量産する技術的な点がクリアとなり,その問題点も明確となった.今後は問題点を解決し,コスト的な面も考えた実機を作成し,量産化する体制を整える段階にある.
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