| 研究概要 |
本研究では砥石・工作物間に発生する弾性変形現象に与える砥石の弾性特性に着目し,一粒々々の砥粒が結合剤によって結合されているという考え方に基づいて砥石をモデル化し,砥石の弾性特性を解析する手法を提案し,加工系の弾性特性を定量的に評価・利用することを目的としている.この研究は上記の目的に従って,砥石の弾性モデルの作成,砥粒を結合する結合剤の静剛性kの同定ならびにこれに基づいた砥石と工作物間の接触剛性の解析から構成されている.
本年度は本研究の第一段階として平成11年度の予備的な研究で構築した砥粒が3次元的に配置したモデルに基づき,有限要素法を用いて砥石全体の弾性モデルを提案し,ばね定数kと砥石のマクロ的な縦弾性係数Eとの関係を解析的に明かにしている.また,この関係を利用して,すでに試作した3点曲げ試験器を用いて,砥石の3点曲げ試験から得られたマクロな縦弾性係数に基づいて結合剤のばね定数kを算出し,kとEならびにこれら両者から得られる砥石全体の弾性変形量を解析的に求め,砥石をマクロならびにミクロの観点から解析し考察した結果下記のことを明らかにした.
1)同じ材料を結合剤として利用した場合のkの値は砥石の形状によらず一定の値を示し,またこの値は砥石の粒度すなわち結合剤の幾何学的な寸法に依存することを明らかにした.
2)上述した結果に基づいて平板と砥石との接触部における砥石の弾性変形現象をマクロな観点から,またミクロな観点からも定量的に求め得ることを明らかにした.
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