研究概要 |
本研究では,可変運転条件における機械設備の異常診断のために,まず周波数領域の特徴パラメータを定義し、K-L展開による特徴パラメータの統合により、従来非定常振動解析に用いられる短時間フーリエ変換,ウェーブレット解析及びWigner分布の異常診断精度を比較検討した。また、従来異常診断用の良い特徴パラメータの抽出が困難な問題点を解決するために,幅広い探索空間のなかで最適解を求める強力な手法である遺伝的プログラミング(GP)を用いて,各異常の特徴を敏感に反映できるロバストなGP特徴パラメータを自己組織的に生成する方法を提案し、多種類の異常を効率的に特定する逐次診断法を提案した。異常が発生している瞬間の特徴成分を抽出することができる瞬間パワースペクトルと頻度情報量による異常信号の特徴周波数帯域の抽出法を検討し、従来の手法で可変運転条件の軸受の異常識別率が最大86.0%であったが,本手法により逐次診断の各2状態において,識別率99.9%の逐次診断用GP特徴パラメータの生成を行うことができた.更にウェーブレット解析を用いて、ウェーブレット逆変換で得られた各レベル(周波数帯域)の波形に対して、時間領域の特徴パラメータを定義し、遺伝的プログラミングにより異常診断に十分な識別能力を持つ逐次診断用特徴パラメータの生成,および識別に最適な最適周波数帯域の決定法を提案し、実機実験により得られた振動信号から逐次診断用特徴パラメータ,および最適周波数帯域を求め異常識別実験により,それらの有効性が確認された.以上の結果より,本研究で提案した諸手法は可変運転条件における機械設備の異常診断法として有効であることが確認できた.
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