研究概要 |
本研究は流体機械内の3次元非定常流れ場を単眼画像計測する手法の開発を行い,実際の流れ場へ応用することによりその実用性を検討した. 研究項目は(1)回転体に対する相対流れ場を観測するための回転像静止法を実現する光学系・撮影系の整備(2)depth-from-defocusによる可視化トレーサ粒子群空間分布検出法の測定精度改善および画像取得システムの構築(3)トレーサ粒子の3次元位置情報から自己組織化マップ法により流速ベクトルを求める3次元粒子追跡法の開発,の3点であった. まず(1)については,回転反射プリズムを用いた光学系を作成し,300RPM程度の回転対象物に対応できることを確認した.また,構築した画像取得システムでは,時系列画像をビデオレートでディジタル保存できることと,2灯式ストロボスコープと同期させ画像取得制御が可能なことを確認した.次に(2)に対しては,粒子群空間分布の測定精度を低下させる要因について検討し,数値シミュレーションおよび基礎実験により画像の空間分解能が測定精度に大きな影響を与えることを明らかにした.この検討結果に基づき,空間解像度を従来よりも高いレベルに設定することにより,可視化トレーサ粒子奥行き位置の検出精度をRMS誤差を半減することができ,測定レンジ60mmに対する誤差率3%を達成した.(3)については,粒子追跡性能評価を一様流モデル・立方体キャビティ内流れモデルを用いた数値シミュレーションで行い,特に重要な出没トレーサ粒子数と粒子誤追跡率との関係を明らかにした. さらに,本研究で開発した単眼画像計測システムにより,回転機械の回転体とケーシングとの隙間流れを模擬した,同軸対向する回転円板-静止円板間せん断流れを計測した.その結果,周方向速度の回転軸方向分布に極小値が現れる特徴的な結果を本システムにより取得できることを示した.
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