研究概要 |
高い総合エネルギーを有するコージェネレーションシステムは,エネルギーの有利用と環境保全の観点から,重要な位置を占めている.民生用小規模システムでは,熱効率が高く,CO_2排出量が少ないディーゼル機関が多く利用されているが,NOxや黒煙の排気が問題となっている.NOxの低減には,燃料噴射時間を遅延して燃焼を抑制したり,排気ガスを再循環させたりすることがあるが,これらは,黒煙の悪化させる.このため,本研究ではコージェネレーション用ディーゼル機関のNOxと黒煙の低減を目的として,排気ガス中のCO_2を水蒸気の共存下で選択的に回収して,これを吸気に再循環するとともに,燃焼室内のNOx低減効果を増大を図るシステムを検討した. 初めに,小型反応装置を用いて炭酸カリウムK_2CO_3により二酸化炭素の吸着及び放出実験を行った.実験では,長さ300mm,直径φ20mmで100℃に保温した反応管に酸化カリウム含んだ活性炭(300gK_2CO_3/1000gCarbon)を組み込んだ.ここに,ディーゼル排気を模擬して,水蒸気を含んだ二酸化炭素・窒素混合ガス(11.8%CO_2)を100℃まで加熱した後反応管に導入し,反応管を通過したガスのCO_2濃度を計測することにより,CO_2吸着に及ぼすガス流量,反応管温度,水蒸気濃度および酸化カリウム量の影響について調べた.その結果,本装置では吸着できるCO_2量は,理論値の60〜70%で比較的に高いCO_2吸着量が得られた.またCO_2の吸着量は反応管の温度によって左右され,100℃で最大吸着量が得られる.水蒸気濃度の影響については,無水分の条件ではCO_2吸着量が小さく,水分14%付近で最大CO_2吸着量を示した.次に二酸化炭素の放出について調べるため水蒸気を70%を含んだ窒素ガスを用いてCO_2の放出に及ぼすガス流量および温度について調べた.その結果,ガス温度が200℃付近では,ガス流量が高いほど高いCO_2放出量が得られた.上記の研究からディーゼル機関の排気ガス中のCO_2の吸着と放出が可能とわかった.次に直接噴射式ディーゼル機関の吸入空気に二酸化炭素を導入して,CO_2選択排気循環について調べた.その結果,二酸化炭素を3%導入することによって黒煙の悪化がなく大幅なNOx低減が得られた.
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