本研究では燃焼装置から排出される窒素酸化物NOxの防除法として、高効率、省エネルギー的な方法を得ることを研究目的としてラジカル注入還元法に焦点を絞り、熱プラズマ中のアンモニアラジカル、水素ラジカル、炭化水素ラジカルの生成、N0xとの反応について検討を加えた。Arガスに還元剤として水素、軽油、アンモニアのそれぞれを添加し、アークプラズマを発生させNH_2、NH、HC、N、C、Hなどのラジカルを生成する。そのラジカルをディーゼル模擬俳ガス(N_2+NO)、(Air+NO)に注入して環境汚染物質であるNOxの分解および除去特性を検討した結果、以下の主な結論を得た。 (1)燃焼模擬俳ガス(N_2+NO)中のNoxの除去特性について、(a)Arプラズマの電圧16[V]において最もNOx除去率が高いことが確認された。電流についてはプラズマの安定する70〜80[A]が最適である。(b)還元剤を添加した場合、17[V]以上では、水素の場合90%、軽油、アンモニアの場合、約85%以上の高いN0x除去率を安定して得ることができる。(c)銅ノズルと排気管の距離[L/d]についてはN0x除揮やプラズマの安定性から判断してL/d=1が最適であると判断される。 (2)燃焼模擬排ガス(Air+NO)中のNOx除去特性を検討した結果、水素・軽油の場合は3.2%、アンモニアの場合は4.2%のO_2が排ガスに含まれていてもNOxを除去することができる。 以上より本研究の方法によつてガソリンエンジンのような排ガス中に酸素の含まれない場合はほぼ100%のNOx除去が可能であり、ディーゼル機関のような酸素が多量に含まれる排ガスではO_2濃度4.2%までの範囲でNOxを除去することが可能であることがわかった。よって、ラジカル注入還元法は電力やArガスなどコスト面の改善をすれば、NOxの除去技術の1つとして今後も期待できる。
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