研究概要 |
本研究では,ごみ焼却過程におけるダイオキシン類の発生および消滅機構を明らかにすることを目的として,先ず,ab initio法による分子軌道法計算によりダイオキシン類のギブス自由エネルギーを詳細に算定した.この際,計算モデルとしてCBS-4MおよびB3LYP/6-311+G(2d, p)//B3LYP/6-31G(d)の両方について検討を行った結果,ハロゲン置換基や二重結合などによる共鳴効果の影響が出にくいB3LYP/6-311+G(2d, P)//B3LYP/6-31G(d)の方がより精度の高い結果を得られることがわかった.次に,得られた結果に基づいて熱力学平衡解析を行い,ダイオキシン類の生成傾向ならびにごみ焼却過程におけるダイオキシン類の同族体パターンが1次生成および2次生成で異なることを明らかにした.また,よく制御された燃焼では,1次生成に比べ2次生成が支配的になることを合理的に説明できた. さらに,ダイオキシン類の2次生成に関するHuangおよびBuekensらの以下に示す反応モデルによって得られる予測結果と C+_aO2→bCO+_cCO2+dAr+_e(PCDD/F) (PCDD/F)_s→(PCDD/F)g (PCDD/F)_s→other products 流動反応管を用いた飛灰上でのダイオキシン類の生成に関する実験結果との比較を行い,実用的な精度でダイオキシン類の2次生成を予測できることを明らかにした.
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