研究概要 |
排ガスからの炭酸ガス吸収システムとして,吸収剤が連続的に排ガス処理を行うものが実用的である。本年度はこの点を考慮して実験装置を開放型風洞とし,しかも昨年まで利用できなかった粉末状の吸収剤が利用できるように一部改良を行った。また,本年度は研究計画の最終年度にあたり,これまでのまとめと今後の課題について検討を行った。以下に得られた結果を示す。 1.開放型風洞の場合,混合ガス濃度は吸収部を通過後,一旦急激に減少し最小値を取り,その後,時間の経過とともに初期濃度に漸近する傾向を示す。ただ,流入する混合ガス濃度に対して吸収剤の炭酸ガス吸収容量が十分大きい場合(本研究では天然ゼオライトで充填量が多い場合)には,吸収量が飽和するまで最小値は保たれ浄化作用が持続する。本実験では,0.3%濃度の混合ガスを0.03%以下のほぼ大気に近い状態にまで浄化できた。 2.吸収剤の如何を問わず,粉末状の吸収剤は吸収量が高く,表面積/体積の大きいものが効果的であることが確認できた。ただ,粉末の場合は固結化されたものに比べ,撹拌などにより強制的に混合ガスとの拡散・混合を図ることが重要で,この操作が吸収量を高めることになる。 3.試作したゼオライト化石炭灰は、天然ゼオライトほど高くはないものの炭酸ガスの吸収能力を有することが確認できた。 4.産業廃棄物の石炭灰をゼオライトに転換し,炭酸ガス吸収剤として有効利用できることが実証された。また,より高い吸収力を持つゼオライトへの転換や吸収装置の開発が今後の課題となった。
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