研究概要 |
本研究では,1本の断面形状可変なはりが,2本の送水管ではさまれた複合送水管を考え,閉ループ系の限界流速が最大となるように,構造系の設計変数であるはりの形状,センサ・アクチュエータ配置と,制御を行うコントローラを同時に最適設計する手法を開発した.研究期間内での成果は,以下のようである. 【平成12年度】 1.複合送水管のスラスタ制御系の数学モデルを求めた.はりの形状は,長手方向に等分割された各部分の幅が調整可能な段付形状と仮定した.得られた数学モデルに対して,制御エネルギー定の拘束条件の下でLQGコントローラを設計し,閉ループ限界流速を導出するための手法を開発した. 2.局所ランダム探索によって,はり形状を最適化するための同時最適設計手法を開発した.種々のエネルギ拘束の下での最適形状を求めた.その結果,制御のために投入可能なエネルギが大きくなるほど最適形状における閉ループ限界流速が大きくなることが確認された.さらに,エネルギ拘束の変化に伴い,最適形状そのものが変化することがわかった. 【平成13年度】 1.平成12年度のシミュレーション結果を元に,複合送水管を製作した.制御を行うコントローラはパーソナルコンピュータに実装した. 2.実験の結果,閉ループ限界流速の理論値との誤差は最大数%となり,モデル化が妥当であったことが証明された. 3.同時最適設計された複合送水管と,構造系の最適化の後コントローラを設計したシステムとで閉ループ系の限界流速の比較を行い,同時最適設計の方がより高い限界流速となることを実験的にも確認し,本設計手法の有効性を示した.
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