研究概要 |
本研究では,剛体ブロック(Tブロック)を用いた回転自由度FRFの計測法を提案し,平成12年度においては,はり構造物を対象とした基礎検討を行った.本年度行った内容を以下にまとめる. 1.測定精度の向上と適用範囲の拡大 回転自由度FRFの推定におけるランダム誤差の影響を検討した.推定精度を向上させるアルゴリズムを考案し,従来の提案法と比較することにより,測定においてランダムに混入する誤差があるとき,偏りのない高精度なFRF推定が可能であることを示した. また従来の提案においてはTブロックを剛体と仮定していたが、より高い周波数範囲の測定を可能にするために,その弾性振動成分を考慮した推定法を検討した. 以上の検討により具体的には,はり構造物を対象として,従来の提案法では500Hzまでの測定が可能であったのに対して,約1,000Hzまでの測定が可能となった. 2.実構造物への適用 提案した回転自由度FRFの推定法を,自動車のサブフレームのFRF測定に適用し,6自由度(並進3自由度,回転3自由度)のFRFを推定した.推定されたFRFをFEMの予測値と比較することにより,その妥当牲を確認すると共に,推定されたFRFを用いてサブフレームに剛体を付加した構造変更予測を行うことにより,その有用性を示した. 3.研究のまとめ 回転自由度を考慮した新たな実験モード解析の流れを整理し,これによりFRF測定及び動的解析を行うことで,実験モード解析の適用範囲が拡張されることを示した.
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