研究概要 |
本研究では,局所制御された自励振動子群が協調して運動パターンを生成するメカニズムを明らかにした.また,そのメカニズムを小型の振動搬送機械を組み合わせた分散形振動搬送へ応用するための基礎について検討した. はじめに,引込みの観点から自励振動子群が協調するメカニズムを調べた発振と制振の働きを明確に切り分けられる可変速度フィードバック形の自励振動子を用いて,引込み現象の発生メカニズムを単純な形で明らかにした.得られた知見を以下にまとめる:(1)強制外力だけで指令振幅に達する場合に局所制御が制振の働きをし,このとき引込み現象が生じる(2)強制外力と自励振動子の同期限界と位相差は,強制振動の振幅位相特性で表せる(3)近傍の影響だけを受ける相互引込みは,同期制御力を強制外力とみなすことで,強制引込みと近似的に等価に扱うことができるまた,全体場の影響を受ける相互引込みにおいても,自分自身の影響を取り除き,周囲からの影響だけを強制外力とみなすことにより,強制引込みと近似的に等価として扱うことができる. 次に,自励振動子群の協調による運動パターンの生成について検討した.近傍の振動子の変位と速度に適切な重み係数を乗じて同期制御力としたものを周囲の影響として各自励振動子に与えることで,自励振動子間に任意の位相差が生成できることを解析と実験の両面から示した.本手法を用いて自励振動子間の位相差を設計すれば,局所制御によって任意の運動パターンを生成できる. また,これらの成果を振動搬送機械の駆動に応用した分散形振動搬送を実現するための同期手法として利用し,複数台の直線形振動搬送機械を協調させた搬送を実現した.
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