研究概要 |
貨物コンテナ荷役作業の高効率化のためには,従来の質点単振子としてのコンテナ吊り荷の揺れ制御技術に代わって,剛体吊り荷としての揺れと回転の同時制御技術とする必要がある。このため,上面の4隅にてロープで吊り下げられた直方体剛体モデルとした貨物コンテナ吊り荷の揺れ・回転の連成振動の解析を行い,これをもとに,コンテナクレーン操作による揺れ制御および慣性ロータのリアクショントルクによる回転制御を併用した揺れ・回転の同時防止制御技術を開発することを目的として研究を実施した。 平成12年度は,貨物コンテナ吊り荷を上面の4隅にてコンテナクレーンより吊り下げられた直方体剛体モデルとして取り扱い,クレーン搬送時の慣性ロータを有する貨物コンテナの揺れ回転連成振動に関する運動方程式を導出した。更に,導出した運動方程式の動的干渉性を用いて,クレーン操作と慣性ロータ駆動によるクレーン搬送制御と貨物コンテナ制振システムを作成した。これをもとにシミュレーションプログラムを作成した後,実験装置を試作しロープ長さが一定で揺れと回転の初期値がある場合の基礎的な実験を行った。 平成13年度は,実機状態に対する解析と実験を実施した。最初に,巻き上げ装置によって陸上のトラックから吊り上げられトロリー走行を経てコンテナ船の船倉に吊り下げられる場合,すなわち貨物コンテナのロープ長が変動する場合の実機制御シミュレーションを行い,実用面での本制御システム適用の可能性を示した。次に,貨物偏積による貨物コンテナ傾斜状態を想定し制御実験を行った。貨物コンテナ吊り荷の揺れはレーザ変位計により計測し,空間姿勢はファイバーオプティカルジャイロにより計測した。その結果,貨物偏積にて傾斜したコンテナ吊り荷をトロリー搬送すると揺れ振動と同時に回転振動が生じること,偏積のある場合はクレーン搬送制御のみでは回転振動は制御できないこと,更にクレーン搬送操作と慣性ロータ駆動操作を同時に制御することで搬送位置と揺れ・回転制振が可能であることを明らかにした。
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