研究概要 |
ジャイロ式力(フォース)測定器(Gyroscopic Force Measuring System,以下GMFSとよぶ。)はドイツで開発され,その原理の特異性と高精度から,わが国においてもにわかに注目を集め,実用化に向かって研究開発された。しかし,ジャイロの製作は高精度な精密加工であり,それが高価格という欠点にもつながり,GFMSの普及を妨げてきたようである。GFMSは高精度な上に線形でヒステリシスがなく,さらにトルクモータによりまさつの影響を受けないといった特徴がある。 本研究では,すでにはかりとして実用化されているGFMSを3次元的に加わる力をベクトル的に測定するセンサとして改良し,その運動解析から実用性,技術上の問題を明らかにしてきた。試作の第一段階として,空間内の気流の速度のように,微弱な力を測定できるように既存のジャイロ計器を改造してGFMSを設計し,力センサとしての実用性を調べ,つぎのことを明らかにした。 (1)出力特性に不感帯があるものの,力センサとしてのヒステリシス誤差や直線性などの特性はほぼ満足であった。 (2)角運動量が小さいために,出力軸まわりの不平衡質量の影響が顕著である。それはフィルターによって除去できるものではなく,対称性を利用して機械的にバランスをとり易くすることが重要であり,本方式をそのまま採用したのでは構造上限界があることがわかった。 今後,本研究の結果をふまえて、力(フォース)測定器としての実用化の道を探るつもりである。
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