研究概要 |
なぞり動作によって表面形状がセンシング可能な摩擦フリーTracing型人工能動触角を提案した.以下に研究成果を箇条書きにまとめる. ・摩擦フリーTracing型人工能動触角は,感覚機構をもたないピアノ線,ピアノ線を固定するためのアダプター,ピアノ線先端に作用する力によって発生するモーメントを計測するためのひずみゲージ(アダプター部に固定),およびセンサシステム全体を動かすためのアクチュエータによって構成されている. ・ピアノ線としては一般的な曲線形状のものも考えられるが,直線形状のピアノ線を用いると,直線方向の力によるピアノ線の伸びが無視できることから,被検査面の表面摩擦に依存することなく形状が高精度で測定できることを理論的に示した. ・ピアノ線は簡単なバネと質量でモデル化できる.このピアノ線のダイナミクスを考慮した逆ダイナミクスモデルを考えることにより,センシング精度を損なうことなくセンサシステムの移動速度が大幅に上げられることを示した. ・従来計測法(レーザ変位計,接触式電子ダイアルゲージ)との比較実験を行った結果,200μm程度の段差に対して5μm以下の高精度で測定できることを示した.さらに移動速度も100mm/secまで上げられることを確認した. ・本センサシステムは従来型のセンサとは異なり,プローブ先端が細く(1mm程度)かつ柔らかいという特徴を有している.このため,本センサシステムは従来型のセンサでは計測できなかった細い穴の中の形状を計測するようなニーズに対して威力を発揮する.この点を踏まえて,従来マニュアルで行われていたエンジン部品の有効ねじ長検出にこのセンサシステムを応用することを試みた.その結果,M6からM16のすべてのねじに対して,その有効ねじ長を要求検出精度(100μm)以内で計測することに成功した.
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