研究概要 |
無制限に深い穴の加工が可能なロボットを設計・製作した.ロボットはレーザ光線で真直に,また曲率のある曲線に沿って誘導が可能である.ロボットはカウンターボーリングヘッド,アクチュエータユニット,ビルトイン方式モータ,アクティブローテーションストッパおよび送りユニットから構成される.本研究では次のような成果が得られた. 1.加工精度向上の観点から切削領域およびビルトイン方式モータでの発熱を調べた.モデル工具を用いた旋盤実験で,切削領域(直径20mm)の平均温度上昇は60rpmおよび270rpmで,それぞれ2℃および25℃であった.加工は直径110mmの円筒内面で行い,切込みおよび送りを,それぞれ0.5mm,0.05mm/revで一定とした.工作物は,ジュラルミン(A2017-T4)である. ビルトイン方式モータでの温度上昇は,回転開始45分で定格回転数60rpmおよび最高回転数80rpmでそれぞれ17℃および23℃であった. 2.ローリング自動修正機能付き送りユニットを,ロボットのローリングを止めるアクティブローテーションストッパおよび送りを与える送りユニットに分離して製作し,個別に行った性能試験を行った. アクティブローテーションストッパの回転速度は0.15°/sであった. 送りユニットの移動速度は0.14mm/sであった. 3.ロボット本体の誘導に関しては,現在事業化可能な状態にある実用型レーザ誘導方式深穴加工工具を用いて調べた. ロボットの姿勢を高精度に検出するための方法を考案し,直線および曲線に沿って誘導することが可能になった. 4.上記性能試験に基づき,ロボット本体のカウンターボーリングヘッドおよびアクチュエータユニットの設計を改良し製作を終了した.ロボット本体は,ローリング防止装置を用いて実験ができる状態にある.
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