研究概要 |
従来のリハビリテーションやスポーツにおける筋力は,複数の筋により発揮される関節トルクであり,本来の筋力とは異なる.近年,二関節筋が四肢の系先端の運動制御に深く関与していることが明らかとなり,2関節2自由度の運動に対して一関節筋および二関節筋からなる三対6筋の筋座標系を定義することで,作業座標系である生体外から測定することのできる出力から筋座標系である筋そのものの力(筋力)の推定が可能であることが明らかとされた. 本研究では,一関節筋と二関節筋を基本とした筋座標系による解析から,作業座標系での力とこれらの筋力(機能別実効筋力)の関係を明らかにし,実用的な筋力推定の手法を提案した.実験は20歳代の成人男性数名を被験者として任意に選び,姿勢変化のない等尺的条件下で上肢は水平面,下肢は矢状面での最大努力における出力と筋電図を測定することにより出力分布と筋活動の関係について検討した.さらに,簡便な測定法として,4点の出力から出力分布を近似し,そこから筋力の推定を可能とした. 以上により,従来の関節トルクとは異なる筋力(機能別実効筋力)を生体外から容易に推定する事が可能となった.
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