研究概要 |
本研究では実規模電力系統における内部共振の解析を行った.得られた成果を以下にまとめる. 1)中西地域60Hz系統と東地域50Hzの解析に,電気学会が作成した標準系統モデルWEST30とEAST30を用いた.発電機および制御系が詳細に表現されているため,系統動揺のシミュレーションプログラムおよび固有値解析プログラムを改良した. 2)中西地域60Hz系統では最も周期の長い動揺モードとつぎの動揺モードの間に内部共振が起きることが明らかになった.系統にはさらに長い周期をもつ励磁系のモードがあり,このモードも長周期動揺の不安性に影響を及ぼす. 3)励磁系のモードに作用する力を2次式で表すことにより,このモードが長周期動揺モードにより励起されることを示した.また,長周期動揺モードに作用する力を調べ,この励磁系のモードが長周期動揺モードの減衰特性を劣化させるよう作用することを示した. 4)この二つのモードに,長周期動揺モードの約半分の周期をもつ二つのモードを加えてそれらの時間変化を調べたところ,系統動揺のシミュレーションプログラムとほぼ同じ結果が得られた.これより,これらのモードが系統動揺の安定性を支配する主要因であることが明らかになった. 5)負荷の電圧特性を変化させて解析したところ,定電流特性より定インピーダンス特性のほうが内部共振が強く現れることがわかった. 6)東地域50Hz系統では内部共振の条件が自然に満たされることはなく,故障などにより系統構成が変化することによって内部共振が生じる.また,内部共振に関わるモードも中西地域系統と異なり,最も周期の長い動揺モードと励磁系のモードであることがわかった.
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