研究概要 |
平成12年度では,ポリアセタール樹脂(エンジニアリングプラスチック)に電極板対とサーチコイルを埋め込み,配電線の電圧波形並びに電流波形を非接触で計測する「樹脂一体型電圧・電流センサ」を考案し,有限要素法に基づく数値電磁界解析を展開した。その結果,本センサには,構成が単純になる半面,電極の寸法・配置・構成,サーチコイルの配置に応じて,検出波形に位相ずれが生ずることが理論的に解明された。一方,センサ出力の位相ずれは,高力率時,低力率時に拘らず,有効・無効電力の評価に大きな影響を及ぼすため,本センサの位相ずれ現象の原因究明,対策法は,本センサの実用化の適否に極めて重要であることが分かった。また,この位相ずれは,各センサの配置,形状のみならず,配電線の配置,落雷防止のために設けられている架空地線の位置等にも大きく依存することも理論的に判明した。 平成13年度では,横引き一般配電系において,上記のセンサに採用してしていた単一の電流サーチコイルに生ずる電流波形の位相ずれを改善する目的で,その電流サーチコイルを等分割し,起磁力が互いに逆向きになるように直列接続し,配電線中心軸対称位置に配置する分割配置型サーチコイル方式を導入し,三相横引き配電系並びに縦引き配電系に設置した場合を想定した有限要素法に基づく電磁界シミュレーションを実施し,その有効性を理論的に確かめた。また,縦引き配電系においては,電圧センサの配置を再検討し,上記シミュレーションを行った。 更に,平成13年度では,上記の設計に基づいて,ポリアセタール樹脂内に逆直列センサーコイル対,円弧型電極対からなる電圧センサを配置した樹脂一体型電圧電流センサを本研究費で試作し,更に,研究担当者等の研究室内に,本年度備品で計上,購入したダウントランスを介して,最大300Aの相電流を流すことができる模擬三相配電系を掣作,本センサを配置し,実負荷状態の電流を流すことで,単コイルに比べて二倍の出力を得,電流位相ずれ補償の効果を得ることができることが実験で証明でき,実用化に目処が付いた。
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