研究概要 |
Co-SiO_2グラニュラー膜の低次元分散型トンネル磁気抵抗効果 i)2次元分散型グラニュラー膜の面内電流(CIP)型トンネル磁気抵抗効果:磁気抵抗(MR)比は温度の低下とともに減少する.これは,低温ではトンネル確率が減少し,スピン散乱確率が上まるためであると推測された. ii)パターンド2次元分散型CIP-TMR特性:リソグラフィーを用いて,幅20mm,厚さ,20nmおよび40nmの細線を作製し,その伝導特性を調べた.クーロンブロッケイドに起因する非線形電流-電圧特性が観測された.MR比は非常に小さく,170Kで最大値0.1%を示し,温度の減少とともに小さくなる. iii)擬似1次元CPP型グラニュラー膜の作製とそのTMR特性:Co-SiO_2グラニュラー膜をSiO2層を挟んだ3層構造で,SiO2ピンホールを利用した擬似的1次元グラニュラー構造を形成し,伝導特性の印加電圧依存性および温度依存性を調べた.クーロンブロッケイド効果またはトンネル活性化エネルギーの電圧依存性の効果により,非線形な電圧-電流特性が現れた.MR比は,バイアス電圧の増加とともに,MR比は減少する. 2.半導体/強磁性膜の磁気特性と伝導特性の研究 多孔質Siの孔にCoを埋めることにより,Siの正常MR効果を強磁性Coにより強調する可能性がある.これを確認する目的で,多孔質Si基板上にスパッタ法および蒸着法によりCo膜を堆積させたものについて磁気特性とMR特性を調べた.磁気特性は,垂直磁気異方性を示し,その異方性エネルギーはCo層厚が250nmで最大になる.Co層厚が10nmのとき,正常MRが強調されることが分かったが,その再現性に問題があり,現在検討中である. 3.新奇な強磁性半導体の創製と磁気伝導特性の研究 GaAs基板上にスパッタ法でCo膜を作製し,Xe^+イオン照射によりCoをGaAs結晶内に打込んだ.これにより,新たな強磁性半導体を作製することに成功した.大きな異常ホール効果が検出されたが,MR比の大きなものは現時点では得られていない.今後の研究課題である. 4.交互蒸着Co-Bi膜の磁気伝導特性の研究 Co組成が17%体積比のとき,ホール効果は大きな温度依存性を示し,150Kで極性が反転することを発見した.また,このとき室温で純Coに比べてかなり大きなホール効果を示す.
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