研究概要 |
本研究では,光集積回路圧力センサの医用圧計測への応用を目指し,カテーテルに組み込み可能な小型・高感度光集積回路圧力センサの開発を行った。 まず圧力センサの動作解析を行い,ダイヤフラムサイズや導波路位置に対するセンサ感度について考察した。この考察結果を基に,「感度不変ダイヤフラム縮小則」を導き出し,この縮小則を実験的に確認するため,ダイヤフラムサイズの異なる3種類のセンサを試作した。感度不変ダイヤフラム縮小則とは,ダイヤフラムの短辺をa,長辺をb,厚さをtとしたとき,比a/bと比a^3/t^2を一定に保てば,ダイヤフラムを縮小しても感度は変わらないというものである。試作したセンサのダイヤフラムサイズは幅3.0mm×長さ15mm×厚さ65μm,幅2.5mm×長さ12.5mm×厚さ49μm,幅2.0mm×長さ10mm×厚さ35μmで,前述の比は共に同じとなっている。感度測定の結果,センサ感度は,3つのセンサともダイヤフラム中央の導波路において約70mrad/kPaとなり,「感度不変ダイヤフラム縮小則」に従うことが分った。 以上の研究成果を基に,目標とするカテーテル先端型圧センサの10倍のサイズでプロトタイプの作製を行った。設計では,模擬カテーテルの直径を20mmφとし,長さ20mmの中にセンサを収めることとした。そのため,センササイズを幅10mm×長さ20mm×厚さ300μmに設定し,ダイヤフラムサイズを幅1.5mm×長さ7.5mm×厚さ23μmとした。作製したプロトタイプはまだ不完全なものではあるが,センサ感度はダイヤフラム端の導波路において81mrad/kPaで,血圧計測に使用可能な感度を実現することができた。今後,ダイヤフラム縮小則に基づいてセンサを小型化することで,カテーテルに組み込み可能な超小型圧力センサを実現できるものと考える。
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