| 研究概要 |
マイクロ波FETは周波数が高くなると出力および能動性が低下し,現在の素子では60GHz程度以上の発振出力を,基本波発振で得るのは困難である。基本波発振では得られない周波数の出力を,その高調波出力を効率良くかつ比較的高い出力レベルで得ることが可能であることを,Xバンド直列帰還型発振器において、基本波出力をほぼ零に抑制しかつ第2高調波出力を最大にする,基本波に対する負荷リアクタンス及び第2高調波に対する負荷インピーダンスを用いることにより,実験的に確認した。次に,高調波アクティブアンテナアレーにおける要素アンテナ回路間のマイクロストリップ線路結合に関して,基本波および第2高調波のいずれかのみの双方向結合を与える場合のアレー同期実験を行い,アクティブアンテナ間を基本波周波数により結合させ,結合位相が2πの整数倍になるように結合線路長を設計することが、同期範囲が広く容易に同期させうる点と隣接アンテナ間の位相差を最大にすることができる点から最適である,という結論を得た。得られた設計に基づいて構成した、高調波アクティブアンテナの2,3および4要素の一次元アレーの実験において,出力波ビーム操作角度として、それぞれ63度、73度及び81度を得ることができ、隣接アクティブアンテナ間の位相差の最大値は約350度に達した。基本波アクティブアンテナ・アレーでは、対応する位相差の最大値は180度であるので、高調波アクティブアンテナ・アレーでは約2倍の位相差が得られ、出力波ビーム操作角度が大幅に増大しうることを示した。
|
