研究概要 |
1 渦電流を考慮した非線形有限要素解析プログラムにより,狭トラック化に対応する記録ヘッドの構造を提案した. (1)面内記録ヘッド:平面型記録ヘッドの最適化を行い,強い記録磁界強度を保ったまま,隣接するトラックへの漏れ磁界が小さい構造を提案した.今後の試作・実験を待ちたい. (2)垂直記録単磁極ヘッド:200Gb/in^2を仮定した構造で記録磁界解析を行い,十分な記録磁界強度と記録磁界勾配が得られることを示した.特に,記録磁界勾配は面内記録ヘッド(100Oe/nm程度)に比べ,大きな値(500Oe/nm以上)となる.これは,熱緩和に対応した保磁力の高い媒体を用いて,遷移長の短い高線密度記録を実現可能であることを示している.また,1Tb/in^2を仮定した構造で記録磁界の検討を行い,主磁極の隣接トラック側にシールドを付加することによって,隣接トラックへの漏れ磁界を大幅に削減できることを示した.(隣接トラック中央への漏れ磁界強度)/(トラック中央の記録磁界強度)の値が従来構造では0.41,提案の構造では0.089であり,高トラック密度ヘッドとして極めて有効であることを述べた.さらに,既に示したように,500MHz-2GHzの高周波記録電流に良好に追従する.これらから,単磁極ヘッドは今後の高密度記録ライトヘッドとして有望であることを述べた. 2 ポール部の領域に絞った解析を効率よく行なうため,現有LLG方程式プログラムを最適化中である. 3 記録素子の状態でポール部分をMFM計測・評価を行なうことは不可能であるので,ポール部を模擬した1μmx1μm,厚さ30nmのNi80Fe20薄膜を作成し,MFM計測を行なった.今後は,いろいろな組成と形状の計測結果をマイクロ磁化解析の結果と比較・検討し計算にフィードバックすることを意図している.
|