研究概要 |
データ圧縮や木探索に用いることができる符号木・探索木に関して,以下のことを明らかにした. 1.FV符号(固定長-可変長符号)に関して (1)一般のFV符号に対して,研究代表者が以前に,平均最適なHuffman符号木が競合最適となるための必要条件を与えていたが,今回,新たに競合優越指数という概念を導人することにより,その条件が必要十分条件であることを証明した. (2)FV符号の特殊な場合であるアルファベット符号において,競合最適符号が常に存在するとは限らないことを示した.さらに,アルファベット符号において,競合最適符号が存在する場合には,常に平均最適であることを証明した. 2.VF符号(固定長-可変長符号)に関して VF符号においても,平均最適な符号が常に競合最適とは限らないこと,および競合最適符号が存在するとは限らないことを示すとともに,ProperなVF符号では,競合最適符号が常に平均最適になることを証明した.AIVF符号(Almost Instantaneous VF符号)という符号のクラスを新たに定義し,そのAIVF符号において,One-shot符号化における平均最適符号木の構成アルゴリズムを与えた.また,AIVF符号では,アルファベットサイズAがA=3以下の場合は競合最適な符号が平均最適となるが,A【greater than or equal】4の場合は,競合最適な符号が平均最適になるとは限らないことを明らかにした.さらに,複数の符号木からならAIVF符号を用いることにより,くり返し符号化においても,従来最適とされていたTunstall符号よりも,平均的に優れた圧縮率を達成できることを明らかにした.
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