研究概要 |
本研究の成果は,以下の6種類に大別できる. 1.メディア同期の基礎概念を明確化するとともに,要素技術の調査と分類整理を行った. 2.ライブメディアまたは蓄積メディアを対象に,4種類のメディア同期外れ回復制御技術(反応制御技術)を取り上げ,それらの組み合わせによる9方式のメディア同期品質の主観及び客観評価を行った.そして,主観評価尺度と客観評価尺度との関係を明らかにした. 3.ライブメディアの実時間性を保証し且つ高いメディア同期精度を達成する再送制御方式RVTRを考案した.ネットワーク負荷とエンドツーエンドの伝搬遅延を変化させた多様な環境のもとで、RVTRのメディア同期品質を測定し,その有効性を確認した.更に,RVTRをマルチキャスト通信対応可能なように拡張した. 4.インターネットのルータでの四つのパケットスケジューリングアルゴリズム(FIFO, Priority Queueing, Class-Based Queueing, WFQ)のライブ音声・ビデオ転送におけるメディア同期品質を,実験により比較した.その結果,WFQが最良のメディア同期品質を実現することを明らかにした. 5.DiffServのAFサービスを用いて,音声・ビデオとTCP及びUDPデータフローとを同時に転送する場合のメディア同期品質について検討した.各ストリームのBAへの割り当て方や,TCPとUDPのデータフローのメディア同期品質への影響を調べた.更に,チャネル伝搬遅延がメディア同期品質に及ぼす影響も実験により評価した. 6.本研究によって確立された要素技術を組み合せて,マルチキャスト通信による分散マルチメディアアプリケーションにおいて有用なメディア同期技術の開発も行った.まず,適応型因果順序制御とメディア同期制御(端末間同期制御も含む)とを融合した方式を開発し,更に,ライブメディアとインタラクティブな操作がなされる蓄積メディアとを同時に扱えるメディア同期方式を考案し,それらの有効性を実証した.
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